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关于此作
「おいてかないで、お兄ちゃん!!」 東京市から戻る列車の中で、芹人は妹・桜美の夢を見た。 夢の中の桜美は、住み慣れた白鷺館の車留めから、どこかへ出かける芹人を見送っていた。 ただ、その妹はどこか彼の知っている彼女とは違って、哀しげな表情をしていた。 芹人には、1ヵ月前に同じような光景を見た憶えがあった。 両親の元で滞在するために東京市へと向けて白鷺館を出る時、桜美は芹人を車留めから見送った。 兄を見送る時、妹はずっとむくれた表情で彼を睨んでいた。 (だからあんな夢をみたんだろう) 列車は今、国境を流れる新川に架かる長い橋を渡っている。 キラキラと光るその水面を車窓から眺めながら、芹人は1ヵ月ぶりの故郷・彩玉を想っていた。 列車が大宮駅に到着して芹人がホームに下りるとすぐ、彼の耳に妹の声が届いた。 「お帰りなさい、お兄ちゃん!」 「ただいま、桜美」 子供の頃の彼女なら、迷わず芹人に飛び付いてきただろう。 しかし、今の桜美はそれをしない。 「ボクね、お兄ちゃんのメイドになるんだ。そうすれば、ずっと一緒にいられるでしょ」 いつの頃からか、メイドになると言い始めた桜美。 いつか来る、桜美がメイドになる日。それは、兄と妹が、雇用主と使用人になってしまう時。 そんなことを考える時、芹人は紳士とメイドの国に生きていることを実感する。 やがて始まる新学期。 英国領・彩玉を舞台に、紳士・メイドを目指す若者たちの純情物語が動き出す。
